記録的猛暑日が続くいまだからこそ力を発揮する高齢入居者の『見守り活動』
2022/07/07
先週、関東甲信越は平年よりも22日早く、
異例の速さで梅雨が明けました。
梅雨明けに合わせ各地で猛暑日が続き、東京では過去最長の9日連続で35度以上を記録。
このような酷暑が続く日々に気を付けたいのが『熱中症』です。
若者はもちろんですが、特に急な気温の変化についていけない高齢者は注意が必要です。
総務省の速報値によると、
東京でも気温が30度を超え始めた6月20日から26日までの1週間で、
熱中症により全国で救急搬送された方は4,551名でした。
そのうち半数以上の2,458名が満65歳以上の高齢者だったのです。
その前の週と比較すると、高齢者の搬送はおよそ3.6倍にもなり、
全体でも約3,000人も増加していますので、
夏本番となるこれからはいっそうの警戒が必要となります。
当社でも、高齢入居者様への見守り活動を実施していますが、
我々が気づかないところで体調のトラブルを抱えてしまうケースもあります。
そのようなときに有効なのが、
自治体が紹介している『見守りサービス』です。
今回は、自治体が紹介しているサービスを活用し、
いち早く高齢者の体調の変化に気づく取り組みを事例と共にご紹介したいと思います。
当社では現在、75歳以上の高齢入居者様への見守り活動の一環として、
毎月振り込まれる家賃の御礼とともに
体調に変化はないかお伺いしています。
あわせて今の時期に必須となっている冷房機器に不具合があれば、
専門のスタッフと連携し対応するようにしてきました。
とはいえ私たちがご連絡をするのは月に一度です。
連絡をしたときにはお元気でも、
体調が急変することも考えられます。
お近くにご親族やご友人が住まわれていれば助けを呼ぶこともできますが、
すぐに駆け付けられない距離であったり、身寄りのない方であったりすると、
発見が遅れてしまうことにもなりかねません。
そこで高齢の入居者様のなかでも、近所に頼れる人がいない方に対し、
当社の見守り活動にくわえて、自治体が提供する『見守りサービス』の利用を勧めています。
これは各自治体が独自に行っているサービスで、
さまざまな企業や支援団体と協力して、高齢者への生活支援を行っています。
ご興味のある入居者様には、
自治体の担当者とともにご説明の機会をいただいています。
そのうえで、入居者様の意思で加入されるかどうかの判断をいただきます。
葛飾区にお住いの70代後半の男性入居者Aさんは、
ご説明を聞いていただいたうえで、サービスを受けることをご決断されました。
Aさんは携帯電話をお持ちでなく連絡手段がないことから
毎月訪問をして、コミュニケーションをとってきました。
とはいえ、お会いできるのはひと月に一度ということもあり、
何かあってもすぐに対応できません。
そこで葛飾区が紹介している『見守りサービス』の利用を勧めることにしました。
葛飾区ではヤクルトと提携し、月々数百円から始められて、
平日の午前中にヤクルトをお届けしているサービスがあります。
コロナ禍ということもあり、対象のお部屋のドアノブにひっかけて配達してくれる形ですが、
もし前日のヤクルトが取られていなければ、何か異変があったという証となり、
すぐに緊急連絡先へ連絡が入り、いち早く異変を察知できるというサービスです。
近くに頼れる方のいないAさんも興味を持たれ、
後日、区役所の担当者とサービスをご提供する企業の担当者とともに訪問し、サービスをご説明。
Aさんも万が一のリスクをご理解いただき、このサービスに加入していただきました。
緊急連絡先には当社を指定していただき、
仮にAさんの身に何かあっても、すぐに駆け付けられるようになったのです。
また大田区にお住いの80代半ばの女性Bさんも、
見守りサービスを検討しご契約いただきました。
Bさんも身近に親族はおらず、
長いことおひとりでお住まいになられていました。
毎月の着金確認とともに行っているお電話のなかで、
このようなサービスがあるということをお伝えすると、
『必要なサービスがあれば検討してみたい』と前向きなお返事をいただけたのです。
さっそく自治体の担当部門へ連絡してみると、
大田区ではケアマネージャーが電気の消費量をウォッチし、
その変化で連絡をいただけるサービスがありました。
Bさんには、当社と役所の担当者、ケアマネージャーとの4者面談の機会をいただき
なにかあっても安心ということにご納得され、このサービスを受けることになりました。
Bさんの緊急連絡先も当社をご指定いただいたため、
異変を感じた際にはすぐに当社もお部屋に伺うことができます。
このように官民連携して、ご高齢の入居者様を見守るサービスが各自治体にあり、
当社の見守り活動とも組み合わせることによって、
万が一のリスクを可能な限り小さくする活動を行っています。
一方で自治体ごとに受けられるサービスや条件は異なるだけでなく、
ご加入は入居者様の意思のもと行われることから、
高齢入居者の方すべてが受けられるわけではありません。
とはいえ、自治体がこのようなサービスを展開していることも、
高齢者自身も気が付かないケースも多くあります。
先月より、身近に頼れる方がいらっしゃらない方を中心に
各自治体が実施する見守りサービスをご紹介しています。
おひとりでも安心して長く暮らし続けられる環境が整うことは
入居者様の暮らしを守る当社の使命だと考えています。
記録的な酷暑が続く今年の夏を迎えるにあたり、
我々だけではカバーしきれない範囲をカバーしてくれるサービスと連携し、
ひとりでも多くの入居者様が安心できる住まい環境の提供をしていきたいと思います。
日本財託管理サービス 債権管理部 吉末 篤司(よしすえあつし)
◆ スタッフプロフィール ◆
東京都足立区出身の50歳。
債権管理部に所属し、入居者様が抱える問題に向き合い、滞納家賃の回収や高齢の入居者様への定期訪問を行っています。
『徳を積む』が座右の銘。自分の行いが、いつかは自分に返ってくること意識し、プライベートでも常に親切心を忘れず行動しています。